公開日 2019年1月23日 最終更新日 2019年1月23日 by JE2UFF_Toshi
自分もEMEを本格的に初めてまだ1年足らずですが、実は意外に敷居は低いと言うことを今回は紹介します。
ここで敷居が低いというのは、50Wでも相手次第で出来ないことは無いという事です。
当方は430MHz専門ですので、430MHzについての紹介になります。144MHzでは違うと思いますし、超OMが多いのでそちらに聞いたほうが早いですね。
アンテナ
まずアンテナですが、基本的には大きいに越したことはないですが、とりあえずは2波長以上のブーム長があれば、エレメント数はあまり関係ないという事です。
これは何を言っているのかといいますと、エレメントが増えれば帯域幅が増えますが、EMEで必要なのは帯域幅ではなくフロントゲインになりますので、ブーム長が長いほうが良いという事です。
とりあえず、430Mhzでの挑戦と言われていたので、432MHzでSWRが最低になるように調整すればよろしいかと思います。
EMEに使用されるのは、CWで432.02MHz付近、JT65Bで432.06〜432.10MHz付近に成り、JT65Bの場合には432.080MHz前後に出てきますので、その辺でSWRが最低になればよいでしょう。
偏波面のベストは水平偏波と垂直偏波が切り替えられる構造を持っているのがベストで、円偏波はゲインが下がるので使っている人は殆どいないようです。
JAとEUのパスでは垂直偏波の方が良いと言われていますが、必ずしもそうではないように感じます。垂直偏波はQRMとQRNに対して弱いので、やはり切り替えられるのがベストですね。
本当はアンテナを回転できれば一番良いかと思います。
LNAについて
LNAについては基本必要だと思います。ものすごくコンディションの良い日に、HB9Qの信号はLNA無しでも見えますが、基本は必要可と思います。
一般的に、LNAは20dB前後のゲインの物が多いと思います。ゲインよりNFが小さい方が効果は大きいと思いますね。また、20dB以上のゲインがあっても、アンテナの状態や周囲の環境により発振したりしますので、必ずしも高ゲインが良いとは限りません。
周囲に何もなく、星が降るような所に住んでいれば、30dB以上の利得が有っても良いかと思いますが、市街地ではダメでしょうね。
当局のアンテナは、20エレx8なのでフロントゲインは約28dBほどになりますので、これに20dBのLNAを取り付けると、水平偏波で空Sが4つ、垂直偏波で空Sが9まで振ります。
それほど垂直偏波の方がノイズフロアが、自分の住んでいる場所では高いようです。
また、20dBを超えると空Sはよく振りますが、ピュルルル〜という音が聞こえるようになり、レピーターを聞いたときにLNAが無いほうがはっきり聞こえるようば場合があります。
この時は、LNAが発振しているようです。これはLNAと同軸〜無線機へのインピーダンスが不安定になっているようです。この件について、JH1KRC渡辺OMから、LNAの出力にアイソレーターを入れると良いとのアドバイスをもらいました。
しかし、国内で販売しているアイソレーターは一般的にGHz用が殆どで、見つけても800MHzのものまででした。
ebayにて頻繁にチェックを書けていたら、USで420〜450MHz用のアイソレーターが販売されており、432MHzに調整出来るとのことでしたので早速購入して取り付けました。
確かに、発振気味な症状はなく成りました。
また、ノイズが多い場所ではAGCを切ると多少改善されますが、AFレベルの調整が微妙になります。
今まで、数種類のLNAを使ってみましたが、やはり20dBでNF0.5くらいの物が一番使いやすかったように思えます。
いつ何処をワッチすれば良いのか?
基本、スケジュールQSOかチャットによるスケジュールQSOで、いきなり聞くランダムではコンテストのときでないと見つけることは無理でしょうね。
MAP65というソフトを使用できれば、SDRと連携してバンド内を一気にスキャンするので、何処かで誰かがCQを出しても見つけられますが、一般的に使用しているWSJTでは無理ですね。
430MHzの場合、先程書いたようにJT65Bの場合であれば、基本432.08MHz付近で待機すればいいでしょう。
チャットによるQSOですが、144MHzの場合にはN0UKのチャットをチェックしていれば、誰がいつどの周波数でCQを出すかが分かります。
しかし、430MHzの場合はあまり使われずに、代わりにHB9QのLoggerが使用されますので、ここにログインして誰かが出てくるのを待つのが一般的です。
URLはhttps://hb9q.ch/2018/になります。
ここにログインしていれば、ログインしてきた局が後何分で月が昇るとか、CQを出す場合は、どの周波数で1stか2ndかを明記してアナウンスしますので、その周波数をチェックしていれば、受信出来る可能性は非常に高くなります。
ただし、当然ながら両局の位置が、付きを中心として同一円内にあることが条件になります。それは、専用のソフトを使うことにより何時になればパスが開くとか、今日はパスが無いとかすぐに計算されて出てきますので非常に便利です。
まずは、Loggerにチェックインし、どんな局が出てくるのか最初は確認するのが良いでしょう。Loggerにログインする局は、どんなアンテナを使用していて、何W出しているのかも分かりますので、大きなアンテナで高出力の局をトレースしていけばチャンスが広がります。
QRPでもQSO出来る
ビッグアンテナとハイパワーが無いとQSOは難しそうに思えますが、自分は小規模でも相手がビックステーションの場合にはQSOが可能です。
当局も、50Wの時代にDK3WGと最初にQSOしてから、ビッグステーションの追っかけを行い、HB9QとUA3PTWと3局QSO出来ました。最近はDL7APVの128エレの威力は凄まじく、MX0CNSとの間ではDPでQSO出来たようです。
DL7APV本人によれば、QRPでもQSOは可能だと言っております。
少なくとも、最初にこの4局の追っかけを行い、この4局の信号を受信することが最初の関門でしょうね。ベランダの11エレスタックでコスモウェーブのLNAを取り付け、受信できていると会社の人が言っておりましたので、この局の信号をデコード出来ることが最初の一歩になります。
デコードさえできれば、多分QSOは可能かと思われます。
この4局でもQSOするためには、最低限
- 月をトラッキングできる状況であること(マニュアル操作でも可)
- 相手とのオープンが確認出来る事
- 適切なドップラーシフトに対応出来ること
- 低雑音のLNAがついていること
- Loggerにチェックインし、チャットしながらQSOをトレースすること
これくらいですかね。50Wでも確実にQSO出来ます。特に50Wでやってるよとアナウンスすると、みんな自慢のアンテナ評価をしたいのでQSOスケジュールを簡単に組んでくれます。スケジュールさえ組めれば、何回でもトライ出来ますので。
当局はDK3WGの信号を聞き、LoggerでDK3WGに声をかけてQSOしてからEMEにハマりました。少しでも耳を良くしたく、いろんなLNAを購入して評価したりしています。
430MhzはQRVしている局が一番少ないバンドですが、アクティブな局は非常にアクティブでフレンドリーなので、まずはLoggerにチェックインしてどんな局が出ているのかを確認したらよろしいかと思います。
また、初QSOを狙うのであれば、春のARIコンテスト、秋のARIコンテスト、ARRL EMEコンテストの時期を狙えば、多くの局が出てきますのでQSO出来るチャンスがかなり広がります。
ビッグステーションはそんなにたくさんいませんが、耳で聞こえるほどの強さで来る局がおりますので、その局を狙えば多分大丈夫でしょう。
敷居は意外と低いと思いますので、ブーム長が3m以上の15エレスタックくらい持っているのであれば、是非チャレンジしてみてください。