おはようございます。一昨日届いた部品を使い、IC-9700のPLL高安定化の改造をいよいよ実施しました。改造自体は大した事ありませんが、SMDコネクタのリードに半田付けがちょっと難関程度ですね。
手術前のIC-9700。これから底面カバーを取り外して手術に入ります。
底面カバーを取り外すと、このようにキバンが丸見えになります。今回は、中央に見える黒いスポンジを外して、その下にあるTCXOに外部同期を掛けます。自分のはIC-9700SなのでIC-9700とは少し違うかもしれません。
真ん中にあった黒色のスポンジを取り外し、FANの前にあるシールドケースの天面に貼り付けます。これが、追加キバンの取り付けベースとなります。
次に、標準で付いている外部基準信号用のSMAコネクタを取り外します。
このSMAのコネクタはナットで固定されているだけなので簡単に取り外すことができます。取り外したコネクタは、ケーブル毎取り外して保管するかショートしないように絶縁して内部に残すかの二通りの処理方法が有ります。
今回自分の場合は、後者の絶縁処理をしてそのまま残す方法にしました。全面パネル側に空間が沢山あるので、そこを利用しテープで固定しておきました。
取り外したコネクタの代わりに、別のコネクタを取り付けます。こちらも同じくナット止めになりますね。
次はいよいよメインの改造に入ります。まずスポンジを外した部分の確認です。
真鍮のシールドに入っている部分が今回の改造対象部分ですね。ここに、まずは先にUKから購入したキバンを取り付けます。
INJECTION BOARD何て名前がすごいですが、キバン自体は大したことありません。箱を開けると、いくつかの部品が有りますが、今回使うのはキバンのみです。
実際に付けてみて気が付いたのですが、ネジを添付の物に交換するのですが、このネジは長さが足りずにしっかりと締まらなかったので、手持ちのネジに交換しました。
こちらが実際に取り付けた状態です。
両面キバンの裏側にコイルの様なものが有り、それが標準で付いているTCXOの上に来るようになっているみたいです。そこから電磁誘導で外部から49.195MHzの信号を入れてロックさせるようですね。
次は、一昨日届いたDF9NPのPLLボードの取り付けになります。このボードも脱落しないように固定する事とアースを兼ねて、アースプレートを作成しキバンに半田付けします。
こんな感じで、真鍮板を使ってアース用兼キバン固定用のプレートを半田付けします。そして、実際に最初に移動した黒いスポンジに強力両面テープで固定します。
両面テープだけでは心配なので、先のアースプレートを近くのネジに共締めとして固定します。これでガッチリと固定された事になります。
いよいよ最終配線ですね。
まずは、外部から10MHzの基準信号用のケーブルを作成し接続します。
このように、片側はPLLキバンに直接半田付けし反対側は外部基準信号用コネクタに接続します。SMAのコネクタはちゃんとトルクレンチを使って指定トルクで固定します。
次が、PLLキバンから49.195MHzの信号を先に取り付けたINJECTION BOARDと接続します。
こちらの接続も、トルクレンチを使用してSMAコネクタを締め付けます。ここまでできればほぼ完成ですね。後は電源を接続するだけで完了になります。
今回のPLLキバンは12Vが必要になります。一番簡単に12Vを取り出すには前回改造したFANから取り出すのが一番簡単ですね。FANのコネクタから12Vとグランドを取ります。
この時、半田付けする場所がかなり小さいので、できれば小手先が細い温度調整が可能な半田ごてを使うと安心だと思います。自分は、金属などを半田付けする場合とキバンに半田付けする場合では、半田ごてを変えて行っています。
電源ケーブルは、おまじないでコアを1つ入れ後はツイストペアになるようにネジっての取り付けになります。
これで全ての改造は完成になります。お疲れさまでした。
最低限の確認として、電源ラインがアースと短絡していないかだけをテスターで確認します。無限大を示していますので大丈夫そうですね。
この状態で、外部基準入力コネクタにGPSDOの信号を入れ、IC-9700本体には電源ケーブルを差し込みます。いよいよ電源投入で、PLLキバンガ動いているかを確認します。
電源を入れると、PLLキバン上でLEDが点灯します。
赤いLEDが点灯し電源が正しく供給されていることが分かりますね。同時に緑のLEDが点灯していますので、こちらも10MHzの外部基準信号が正しく入力されていることが確認出来ました。
キバンは問題なく接続できていると言う事になりました。一度電源を切り、底面カバーを取り付けてリグを元に戻します。
さて、いよいよ最後の確認になります。
SSBモードでビート信号を見つけます。自分の場合は、丁度DIGIKEYER IIから出ている信号が432.72MHz付近に出ているので、その信号を使っての確認になります。
現段階では、外部信号を入力している状態なので、この状態でまず信号を固定します。その後、外部入力を外した時に信号が少しずれます。このズレ量を確認し、430MHzの場合は30Hz以下になるように外部基準信号の調整をタッチパネルで行います。
※古いバージョンのFWは外部基準信号のON/OFF切り替えが有りましたが、最新版では外部基準信号に同期を取ると言う機能に変わっています。
自分の場合は、GPSDOにより自動同期をずっとかけていたため、マニュアル調整の値が自動で外部基準用に切り替わっていたので、今回のPLLを取り付けた時に外部信号をON/OFFしたときの差は10Hzでした。
一様、規格の30Hz以下でしたので特別何もしなくても問題ありませんでした。
これで完全に改造は完了したことになります。実際にはおまじないの世界なのかもしれませんが、海外の局も含めて殆どの局が改造を実施している事から、おまじないではなく効果が有ると思われます。
デジタルモード(JT65B/C, FT8, FT4)の運用を考えている人は、実施している価値はあると思います。
改造部品代は全部で108ユーロ掛かりました。日本円で13000円弱ですね。