MMTTYの普及でRTTYを運用する人が劇的に増えました。いろんな雑誌でMMTTYを使うと驚くほど解読率が上がり、ノイズやQRMに対してSSBやCWと同等レベルになったと書かれています。
しかし、実際にはガブール(化け字)が多いとか、思ったほどよく解読しないと言う声も良く聞きます。どうして雑誌と実際にギャップが有るのでしょうか?せっかくの機会なので自分なりの経験を書いてみました。MMTTYを使っている人の意識改革と参考になれば。
実は、今までHWで半田鏝を握りながらカットアンドトライで行ってきた調整を、PC上で調整出来ることがこのMMTTYの大きな特徴で、この調整が出来ないと単なる1/0のソースの固まりでしかないのです。
この調整というマジックボックスが実は曲者なんです。これが出来ないので、何だ、思ったほど復調しないじゃないか、となるんです。
実際にMMTTYの設定画面を見ると、DEMODULATOR,AFC/ATC/PLL等とタブ方式でいろいろと設定する所が有ります。
普通インストールした後は送信系のCOMポート設定とマクロの設定位で、殆どの人はそのままのデフォルトで使っているのではないでしょうか。せいぜい調整しても周波数弁別器の部分のフィルタ種類を替えたり、フィルタの特性を鋭くしたりでしょう。少しでも復調性能を上げたく、最初はこの辺のフィルタをやたら狭くするのです。でも使った感じは殆ど変わらんな、ってのが正直な感想ではないでしょうか。
そもそも受信関係の設定をやろうとした場合には、RTTYのデモジュレータ回路構成がどのようになっていて、各々の回路の機能は何かを理解していないと、何を調整しているのかが解らず、結果何も変わらないになるのです。
たとえば、初段に何故リミッタAMPを入れるか解りますか、入力レベルをそろえる為ですよね。では何故入力レベルをそろえなければならないのですか?それはFSKだからで、AMではないからです。周波数弁別器に入る前に振幅成分が大きすぎてはマーク、スペースの弁別後のLPFで目的信号も除去される可能性も有るのです。
このように全ての回路の機能をまず最初に理解すると、どこを同調性すれば良いかが見えて来て、その後は自分の運用環境に合わせて調整し経験を積むしかないのです。
MMTTYはいろいろな所の定数が調整出来る万能型のデモジュレータです。調整が多い万能型ゆえに、調整で無限ループに入り何処をどうしても全然駄目な状態に陥る可能性も十分有るソフトです。勿論、きちんと調整できればこんなシンプルな構成で素晴らしい復調特性を手に入れることも出来るのです。
インターネット上にはST-6と言われるRTTYデモジュレータの回路図が沢山出回っています。OP-AMPを数個使用した回路なのでよく見れば十分機能を理解できると思います。この回路を眺めた後にMMTTYを調整すれば、また違った世界が見えてくると思います。ハードとソフトは常に表裏一体で、片方だけでは十分に性能を生かすことは出来ません。ソフトを生かすためにもハードの理解が必要だし、ハードを生かすためにも素晴らしいソフトが必要なのです。
MMTTYの調整うんぬんの前に、最低やっておかなければ行けないことだけ紹介します。MMTTYのスケルチを50%~60%に設定して、トランシーバは起動せずPC単体の状態で受信画面に意味不明な文字がやたら出るようであれば、そんなサウンドカードはノイズジェネレータで実用レベルには無いと言うことです。そんなサウンドカードではいくらMMTTYを調整しても化け字を減らすことは絶対に出来ません。直ぐに捨てて新しいサウンドカードを購入してくさい。
最低限、上記で述べた意味が解らないようではMMTTYの調整は無理だと思います。
それではMMTTYをお使いの皆さん、頑張ってください。やっただけのことは必ず有るソフトですから。これだけは言えます、このソフトは調整できれば非常に素晴らしいソフトです。間違い有りません。