鳴り物入りで導入されて、多くの局が使用を始めているIC-9700ですが、実は海外局の多くで語られている課題があります。
特にYoutubeでは実際の対策などについての動画が多数出回っております。その問題は何かといいますと、周波数安定度の話です。カタログスペック上では±0.5ppmになっておりますが、実際に使用すると特に1200MHzでのドリフトが気になるようです。実際には、1200MHzだけでなく、430MHzでも144MHzでも同じなのですが、周波数が高いほど顕著に症状が出てくるようです。
原因は今迄FANのON/OFF動作と言われてきました。IC-9700は受診時にFANは回っておらず、一定の送信を繰り返しているとFANが回り出します。その時に、FANが回る前と回った後で内部温度が結構変わるようで、TXCOの49.152MHzが動くようです。この対策としては、ツェナーダイオードを追加して、受信時にもFANが低速で回るように改造してあげれば良いとのことでしたが、実際には改善はされますが未だ不安定要素があるようです。
FWの途中から外部からの10MHz基準信号を入れてTXCOの同期を取るように変更になったのですが、49.152MHzにロックを書けているようではないので、いくら外部基準信号を入れても未だ動くようなんです。一番ベストは、FPGAで49.152MHzをロックすることらしいのですがICOMがそこまでの改造はしないようなので、ICOMの補償範囲内でいかに改造するかが、海外の有志によってススメられています。メイン基板に実装されるTXCOの上に誘導コイルを設置し、それでTXCOをロックさせるような構造なんですね。その49.152MHzをロックさせるために、別のPLL基板を実装しそこに10MHzの外部基準信号を入れ、10Mhzでその49.152MHzのPLLをロックさせるようなんです。これらの改造記事も、今はたくさん出回っていますね。
この周波数安定度は、FT8やJT65などのデジタルモードをやらなければ全く関係ありませんが、1200MHzのFT8を運用している人にはMUSTの改造のようです。当然、EMEで使用する人も必須の内容ですね。
もし、49.152MHzのロックをかける改造をしない場合でも、FANを回す改造と外部基準信号を入力することは最低限必須の条件に成ると思います。IC-9700でデジタルモードを運用する人は、十分注意してください。オリジナルのまま運用すると、周波数ドリフトにより途中でデコードできなくなる可能性が高いです。