公開日 2020年3月18日 最終更新日 2020年3月18日 by JE2UFF_Toshi
昨晩もIC-9700についてチェックしていました。非常に素晴らしい製品ゆえにユーザーのリクエストも本気のようですね。前回も書いたのですが、このリグは普通に使っている分にはなんの問題はなく使用できると思います。特に、FMのラグチューでは文句の付け所が無いでしょう。
しかし、非常に残念なことはDIGIモードを運用する人にとっては致命的なのが周波数ドリフトなんですね。特にSHFのベース機として使用できるように1200MHzが標準で入ったリグとしては、致命的な問題のようです。
ネットで調べていくと、EMEをやっている人達には不評なのが49.152MHzがTCXOとなっていることのようですね。ファームウェアの変更で、10MHzの外部基準入力と同期ができるようになったのですが、それでも安定しないようです。
海外の多くのユーザーが指摘しているのは、10MHzの外部基準周波数はFPGAに直接インプットされているようですが、これがFPGA内部タイミングの定期的な再キャリブレーションだけしか行っておらず、連続的な位相ロックシステムではないので、大きな効果は期待できず未だにTCXOの外部温度の影響を受けていると言うことです。
日本のユーザーの実験にもありましたが、IC-9700は受信時には基本FANが回っておらず、一定の温度上昇によってFANが回りだす。従って、FANが回っているか回っていないかでTCXO周囲の外気温はかなり変化し、周波数ドリフトにつながっているようなんです。日本のユーザーの場合は外付けでFANを追加し常に回っているようにすることである程度のドリフトを抑えられるようになったということです。
それでもFT8程度なら電源ON後20分くらいすると安定するみたいですが、JT65になると1分周期なのでだいぶドリフトの影響は受けると思います。
周波数安定度は±0.5ppmになっており、一見すごく性能が良いように思えますが、それはHF帯での話ですよね。1200MHzで600Hz はドリフトするということですから。430MHzでもEMEで使う432MHzで216Hzドリフトするのですから、こんなにドリフトしては使用できませんね。そのため、外部基準周波数を入れなければいけなく成るのです。
しかし、これを入れても定期的な再キャリブレーションですので、一秒間に数回再キャリブレーションを行うようですが、その都度数Hzは周波数が飛ぶみたいですね。だから、49.152MHzを連続同期させるキットが出回っているようなんです。そこまでしないとEMEでは使えないようです。
これらの話は、既にICOM EU、ICOM AUとかに話が行っており、販売されているキットはICOMの保証範囲内になるように各サービスセンターと話をして作られているようですね。
できれば、外部のキットを購入して対処するのではなく、ICOMさんが自らユーザー要求に対処してくれることを希望します。特にマイクロ波がアクティブなEUでは、運用に対する切実な問題のようです。IC-9100にはこういう問題が無いので、RFダイレクトサンプリング方式になったIC-9700で発生することは残念ですね。
もし、EMEやマイクロ波用トランスバーターの親機として使用するのでなければ、最高に良い1台だと思います。
早く世界中のICOMファンの要望に耳を傾けていただきたいですね。49.152MHzが外部基準信号で連続同期が取れるようになれば、最強の1台だと思います。