おはようございます。昨晩は6mも時々オープンする程度でしたが、VUとFT8/FT4各々1局ずつQSOすることができました。信号が浮き上がってくる間の時間を利用し、ずっと疑問に思っていた430MHzのスタックブームの影響をシミュレーションしてみました。
スタックブームはアンテナのエレメントに対して、直角の場合には影響を受けませんが、エレメントと同一方向の場合にはどの程度影響があるのかを確認してみたんです。
何故こんなことを考えたかと言いますと、M2のアンテナでXPolの場合にはスタックブームがFRPなんですよね。FRPにするには何らかの理由があると思いその理由が知りたかったのです。
まずはエレメントに対してスタックブームが垂直の場合、つまりスタックブームが無いと同じ状態ですね。

非常に綺麗にエレメントに電流分布が出ております。またビームパターンも綺麗なF/B比を出しています。

それではスタックブームとアンテナを直接クロスマウントで接続した場合を見てみましょう。この場合、スタックブームは丁度ブームのクロスマウントの位置まで食い込んで来ている形になります。スタックブームはアルミパイプの36mmの想定です。

エレメントの電流分布は大きくは変わらないようですが、スタックブーム自体にも電波が乗ってしまい電流分布が現れています。
この状態でビームパターンを見てみると

フロントゲインは1.6dBほど低下し、F/B比は7dBも悪化していると同時にパターンも綺麗では無くなってきております。
明らかにスタックブームの影響を受けている事が分かります。それでは、ブームサポートのようなもので、エレメントとスタックブームの距離を30cm程度離せば影響が無くなるのかを確認してみました。

スタックブームをエレメントから30cmでも離す事で、スタックブームに電波が乗ることを軽減はできていますが、全く無くなった訳では無いのでF/B比には影響が残りパターンも若干悪化します。

以上のシミュレーション結果より、スタックブームはエレメントと同相の場合には、多少離しただけでは影響は回避することはできず、シングルでこの程度の影響を受けますので、実際にスタックにした場合にはスタックブームの影響はかなり出ることになりますね。
430MHzの場合、ブームを長くしてエレメントを増やせばフロントゲインも上昇しますので、このようなスタックブームをアルミパイプで使用したパターンでも若干は改善できますが、基本的なスタック効果であるフロントゲインの上昇とビームパターンの収束効果は薄れてしまうと言う事ですね。
これらを改善するために、M2アンテナではエレメントに対して影響を及ぼさないFRPを使用しているのですね。
もし自分が、現状の水平偏波に対して垂直偏波を付加する場合には、アルミのスタックブームをFRPに交換してから垂直偏波用のアンテナを付けないと、ビームパターンが無茶苦茶になってスタックにした効果があまり得られないと言う事が理解できました。
このシミュレーション結果を基に実際の改造計画を考えてみたいと思います。